本とのこと

本と映画と音楽の話。

【映画感想】世界から猫が消えたなら

田舎にいた猫のモノクロ写真

もしもこの世界から猫が消えたなら、一体どうなってしまうんだろう。

この映画のあらすじ

もうすぐ死ぬと医師に宣告された主人公(佐藤健)。この世にある「なにか」を1つ消すことで余命を1日延ばしてもらえる。消えるというのは、その時点から消えるのではなく、その「何か」が過去からも未来からもなかったことになる。だから、その「なにか」で成り立っていた建物も、人とのつながりも、思い出も、なくなってしまう。主人公は、寿命を1日延ばしてもらえる代わりに、1日置きにこの世界から消えていくのは、電話、映画、時計、それから...

この映画のよかったところ

映画冒頭の朝のシーン

主人公が猫をカゴに乗せて自転車をこいでいる場面がとてもよかった。スクリーンの中から青白い薄明るい朝の空気が感じられた。とても心地よかった。

主人公と登場人物の「関係」

主人公の元恋人(宮崎あおい)との関係も、親友(濱田岳)との関係も「映画」がきっかけになっているというのもよかった。浜田岳の「この世界に映画は無限にある。だからおれとお前の関係もずっと続いていく」という言葉が忘れられない。

ポップな色の海外シーン

中盤で暗めだった日本のシーンから急に海外のポップでカラフルなシーンにチェンジされたのもよかった。目をリフレッシュさせてくれて観客を飽きさせない。日本だけではなく海外旅行での回想を挟むことで映画の広がりを感じてとても良かった。

宮崎あおいが叫んでいたあの広大な滝はどこの国のなんという名前の滝なんだろう。目の前にものすごく広大な滝が流れ続けているあのシーンに魅せられた。自分も「行ってみたい」と思った。

母の手紙

母の手紙はずるい。あんなん泣くやろ。映画館内はこのシーンで僕と他の人たちのぐすんぐすん鼻をすする音で溢れた。

この映画を見た感想のまとめ 

誰かにとっての「いらないもの」は、他の誰かの人生にとっての「かけがえのないもの」なのかもしれない。人と人とのつながりって案外その人と共通の「何か」を通して繋がっているのかもしれない。その「なにか」はひとつだけかもしれないしたくさんあるかもしれない。

 人間が生きるためだけに必要なものって少ないかもしれない。この世界には「いるもの」より「いらないもの」のほうがきっと多い。だけどその一見すると「いらないもの」が、僕たちの人生にたくさんの彩りを与えてくれているようだ。

主人公と元恋人との「電話」の関係。主人公と親友との「映画」の関係父と母の「時計」の関係。主人公と母と父の「猫」の関係。どれも主人公の人生にとってなくてはならなかった存在。

もしもこの世界から○○が消えたなら、自分は誰との関係がなくなるんだろう。もしもこの世界から僕が消えたなら、この世界は何か変わるんだろうか。自分の人生の中で、この世界の中で、出会った人、ものがなんだか愛おしい。そんなことを考えた映画だった。

本を読むのが好きな人はこの映画の空気感きっと好きだと思う。おすすめ。