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本とのこと

本と映画と音楽の話。

僕がApple Musicをやめた理由

AppleのMacBookAirの上にCDを置いたモノクロ写真

僕はちょうど1年前のこの時期、すごくわくわくしながらそのサービスの開始を待っていた。そしてサービス開始の7月1日。朝起きてすぐにApple Musicの会員登録を済ませた。

iTunes Storeの曲が全部聞き放題になるのかと思っていた

Apple MusicとはAppleが提供する音楽ストリーミングサービスだ。サービスが始まる前は、iTunes Storeで販売している曲の全てが聞けるようになるのかと思っていた。だってあそこに無数にある曲達が全部聞き放題になるなんて、夢みたいじゃないか。Apple Musicの料金は月額980円だけど、ほぼ毎月CDアルバム一枚(約3,000円)買ってる自分にとってはそれをやめてApple Musicで聴くようにすれば...どうしよう十分元が取れすぎるぐらい取れる...!という計算までしていた。

いざ、中を覗いてみると、あれ?聞きたかったあのアーティストの新しいアルバムが入ってない。古いアルバムしかない。そもそも1曲もApple Musicで配信してないアーティストさえいる。iTunes Storeにはあるのに。そこでまずがっかりした。なんだ、全部聴けるわけじゃないのか〜と。そんなうまい話はないみたいだ。

毎日プロが選曲してくれるプレイリストは上質だ

邦楽は少なめだったけど洋楽は充実しているみたいだ。自分は普段洋楽より邦楽ばっかり聴いているし、洋楽って何から聞いたらいいかわからないから手当たりしだいTSUTAYAで借りてくるよりもよっぽど効率がいいしお金もかからないと思った。

あとこのサービスの素晴らしいところはApple Music専属のDJみたいな人がいるらしく、その人たちが人力でおすすめのプレイリストを作ってくれているところだ。そして今まで聴いたiTunesの履歴などから判断して自分が興味のありそうなおすすめのプレイリストを「For You」というTwitterのタイムラインみたいなところに日々流してくれる。これがなかなかいい。まるで洋楽好きの親友ができたような感覚である。

「For You」のタイムラインには「初めてのPassion Pit」やら「日曜の朝に聴きたいオルタナティブロック」やら自分の趣味にマッチしていてタイトルを見ただけで聴きたくなるようなプレイリストがたくさん流れてきた。特に「初めての◯◯」シリーズ(◯◯にアーティスト名が入る)は洋楽初心者の自分にとっては洋楽入門として使えるのでとてもありがたかったし、選曲のプロ達が選んでくれたプレイリストを聴いている時間はなんだか上質な気分を味わえた。

同じ曲は聴かなくなった

 というわけでApple Musicを契約してからというもの、毎日毎日降ってくるおすすめプレイリストの曲を聴き漁っていた。常に新しい曲を教えてくれるので同じ曲を聴くことはあまりなくなってきた。特にApple Musicを契約する前は何度も繰り返し聴いていた自分のライブラリの曲たち(自分でCDを買ったりTSUTAYAで借りたしながら集めた曲たち)をほとんど聴かなくなっていった。

買ったばかりのCDが聴き放題になっているむなしさ

ある日Apple Musicを契約する前から予約して、発売日を心待ちにしていたCDアルバムが家に届いた。早速CDのパッケージを開けて意気揚々とiTuensのライブラリに取り込む。

再生。1曲目のイントロが流れる。うぉーーとテンションが上がる。これだ、僕は音楽を聴いている時間の中でもこの瞬間が最高に好きだ。新しいCDを開けて、一曲目のイントロを聴き始めるこの瞬間が。

満足気にCDを聴き終わって少しして、Apple Musicを見ていると、ニューリリースのページにさっきライブラリに入れたばかりのアルバムが表示されていた。

「なんだ、全曲聴けるんじゃん。」

その瞬間、PCの横に転がっていた新品のCDが急に中身のないただの箱のように思えてきた。

「CDってなんのために買うんだっけ」

そんな疑問が頭に浮かんできた。買っても買わなくてもiTunesとiPhoneでこのCDの中身は聴き放題なのだ。だとするとこのCDというものはアーティストの活動を応援するためのファングッズ程度の意味しかないんじゃないか、そんな風に思えてきた。

CDを買わなくなった

それからというもの、CDを買うことがほとんどなくなった。Apple Musicで配信されないアルバムが発売されたとしても、わざわざ高いお金を払ってまでCDを買うこと自体が、無価値で時代遅れで「ダサい」ものに感じられた。それにこっちは毎日Apple Musicに無限に入ってる曲を聴くのに忙しいのだ。10数曲を手に入れるために3,000円も払うなんてばかばかしい。

音楽ってこんなだっけ?

Apple Musicでは基本的に洋楽を聴いていたんだけど、ある日、好きな邦楽バンドの新しいアルバムが配信されているのを見つけた。ラッキーと思ってApple Musicからダウンロードして自分のiTuensに取り込む。

再生。1曲目のイントロが流れる。あれ?全然テンションが上がらない。今回のアルバムはハズレかなあ。アルバム全曲を聴き終わった後もその感想は変わらなかった。他にも聴く曲がいっぱいあるからそのアルバムを2度と聴くことはなかった。そんなことが1度だけじゃなくて何度かあった。

今までは、自分で買ったCDだと、最初は「うーん?」と思っても必ず良くなってくるタイミングが来ていた。何回も聴くから曲やアルバムの全体像がつかめてくるんだと思う。それに、何回も聴くからその曲とアルバムに愛着がわいてくるんだと思う。

Apple Musicは違った。その日見つけた曲を聴く。良くない、次。良くない、次。次、次、次...。次々と音楽をポイ捨てするような聞き方をしていた。捨てられた音楽は2度と拾われない。

どの曲を聞いてもあんまりいいと思えなくなった。 毎日おすすめされるプレイリストで新しい音楽達を必死に追いかけていると、なんだか音楽を聞くのに疲れてきた。

「音楽ってこんなだっけ?」

昔に戻りたくなった。CDの発売日を楽しみに待って、やっと手に入れて、パッケージを開けて、ばかみたいに同じアルバムを何周も聴いていた昔に。

 

僕はApple Musicを解約した。 

 

AppleMusic開始から1年

Apple Musicというサービスが始まってからもう1年が経とうとしている。僕のPCの横にはこの前買ったばかりのCDと歌詞カードが広げてある。CDからiPhoneに入れたそのアルバムを、発売日からもう何周聴いているのだろう。自分にはこれくらいのペースで聴くのが合っているのかもしれない。次々と新しい曲に出会うよりも1曲1曲と向き合う時間を大事にしたい。こんなこと言ったらCDなんか買わない10代の若い子たちに「ダサい」ってバカにされるかな。

ふと、ガラケーからスマホにかたくなに機種変しようとしない父親の顔が浮かんできた。何度勧めても曲げようとしないその変なこだわりを僕はバカにしていた。

「似たようなもんか」

そう思うとなんだか笑えた。

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