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本とのこと

本と映画と音楽の話。

椎名林檎ファンが聴いた宇多田ヒカルの新アルバム「Fantome」感想

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宇多田ヒカルが帰ってきた!

ついに宇多田ヒカルが人間活動期間を終えて音楽シーンに帰ってきた。「待望の」という言葉はこのアルバムのためにあるのだと言いたくなるぐらい待望のニューアルバム。

そんなアルバムなわけでiTunesアルバム総合ランキングでは、国内はもちろん1位、全米では日本人女性ソロアーティストとして初の6位、ヨーロッパはフィンランドでも1位。世界中で売れ売れ状態。凄すぎ。

感想はうわー!宇多田ヒカルだ!ちょっと新しいところもあるけどやっぱり宇多田ヒカルだ!(浅)

そしてなんといっても椎名林檎とのコラボ。椎名林檎ファンとしてはいろいろ書きたくて仕方なくなったのでアルバムの感想を書きます。

宇多田ヒカル「Fantome」の感想

01.道

道

  • 宇多田ヒカル
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

アルバムの一曲目って好き。これから始まるっていうわくわく感が詰まっているしやっぱりアルバムの看板になる(なりやすい)曲なのでいい曲が多い。この曲も例に漏れず「一曲目」らしさが詰まってる。そして2016年のこの時代に復活した新しい宇多田ヒカル感が詰まってる!あとこの曲で「転んでも立ち上がる」って力強く歌っている部分はAIに似てると思った。こんなに力強い歌い方の宇多田ヒカルは今まで聞いたことがなかった。母になった強さかな。 

02.俺の彼女

不穏なイントロと不穏な歌から始まる。曲が始まった瞬間から「うわ、この男ダメなやつだ!」ってわかる(笑)。この歌は男性パートと女性パートに分かれている(全部宇多田が歌う)。男はひたすら「俺の彼女」の良いところを自慢する。彼女はもっと干渉したいけど嫌われたくないから自分を殺して「理想の彼女」として振舞っていることを明かす。そしてもっと相手の心の奥に触れたい、触れられたいという願いを歌う。男はそんなことはつゆ知らず。そんな歌。

この男どう見てもダメな感じだけど「俺の彼女は趣味や仕事に干渉してこない」とか「帰りが遅くなっても聞かない 細かいこと」とかたぶんこれって大半の男達の理想の彼女だから気持ちわかるんだよね〜。そして女の子って干渉できないことがこんなにつらいのか...って結構衝撃。ほんと男と女って分かり合えないよなーって永遠のテーマだなー。

それにしてもこの男はだめだ。夢もないし「望みは現状維持」だし「いつか飽きるだろう つまらない俺に」って、うわ...めっちゃネガティブですやん、自己肯定感低すぎですやん!別れよう。

曲の最後の最後も男の「俺の彼女」の自慢で終わっているのが男のダメさ加減を表していて良い。

宇多田の男パートの歌い方が椎名林檎っぽい。意識しているかどうかは知らない。そして男性パートと女性パートを一人で歌い分ける宇多田ヒカルを聞いていると椎名林檎のカバーした「木綿のハンカチーフ」を思い出した。ああ、そうか!ダメな男と健気な彼女。この曲、平成版の木綿のハンカチーフだ。

木綿のハンカチーフ

木綿のハンカチーフ

  • 椎名林檎
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

03.花束を君に

宇多田ヒカルが朝ドラの主題歌を歌うと聞いた時には椎名林檎の「カーネーション」を思い出した。椎名林檎が朝ドラの主題歌を歌い、数年後に宇多田ヒカルも朝ドラの主題歌を歌い、二人とも「花」をキーワードにした曲にしていて、そこに密かに二人の繋がりを感じたりしていた。朝ドラで聞き、iTunensStoreで購入してからも何回も聴いていたのにこの曲の真相に全く気づいてなかった。

人生の中で二度と起こりえない大きな喪失感を胸に《抱きしめてよ、たった一度 さよならの前に》と歌った”花束を君に” 

今週の一枚 宇多田ヒカル『Fantôme』 | ロッキング・オンの音楽情報サイト RO69

このアルバムを買ってからこのレビューを見て、「ん?」ってなって「んん?」ってなってちゃんと歌詞を聞き取りながら曲を聴くと鳥肌がたった。”普段からメイクしない君が薄化粧した朝”、”涙色の花束”...この曲、葬式の曲だったんだ。それに気づいてからは亡くなった母に宛ててこの曲を書いた宇多田ヒカルを思うと泣けてきた。

なんかほんわかした暖かい曲やな〜と思いながら聞いていたのに。これはSuperflyに次ぐ花束ソングやな〜結婚式で使われるな〜と思っていたのに。これは結婚式では使えませんわ。

そしてこの曲が朝ドラの主題歌として流れて毎朝何百万人もの人に聴かれていたっていうのが興味深い。花束、いっぱい集まっただろうな。

04.2時間だけのバカンス featuring 椎名林檎 

二時間だけのバカンス (feat. 椎名林檎)

二時間だけのバカンス (feat. 椎名林檎)

  • 宇多田ヒカル
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

一番楽しみにしていた曲。だって宇多田ヒカルと椎名林檎の共演ですよ。14年ぶりですよ。知る人ぞ知る椎名林檎と宇多田ヒカルは2002年の椎名林檎のカバーアルバム「唄ひ手冥利〜其ノ壱〜」の「i won't last a day without you」という曲で共演している。

I Won't Last a Day Without You

I Won't Last a Day Without You

  • 椎名林檎
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

デビュー年が同じでレコード会社も同じ2人は1999年に「東芝EMIガールズ」という名の一夜だけのユニットでイベントに出演したり、最近では宇多田ヒカルの結婚祝いに、と椎名林檎が自分のライブでサプライズで「travering」を披露したり、宇多田がそのことに対してTwitterで礼を言ったり、宇多田ヒカルのトリビュートアルバム「宇多田ヒカルのうた-13組の音楽家による13の解釈について-」に椎名林檎が「Letters」という曲で参加したり(このカバーが良すぎる)。最近は特に2人の繋がりを世間にチラチラみせつけていた。

Letters

Letters

  • 椎名林檎
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

個人的にLINEのやりとりをするぐらい仲良しで、このSWICHを買って読んだ時には「こんなに!」ってけっこうビックリした(このSWITCHに二人のLINEのやりとりが載っている)。

ずっと二人でまた何かやりたいねって話していて今回やっとその話が現実になった。

この曲も男性パートと女性パートに分かれている。聴き始めるとすぐにわかる、あ、これ不倫の歌だ。宇多田ヒカルが女性パート、椎名林檎が男性パートを歌う。あーだからMVで二人イチャイチャしてたのか。

最初は宇多田ヒカルの声から始まって、「林檎さんくる?くる?」ってなって「林檎さんキター!」ってなる。椎名林檎ファンとしては上に書いたような二人のこれまでの経緯が思い出されてこの曲を聴くたびに胸が熱くなる。あとこの二人のことは宇野維正さんの書いた1998年の宇多田ヒカルという本に全部書いてある。椎名林檎ファンと宇多田ヒカルファンは絶対に読んでほしい。本当に面白いしこれも読んでいて胸が熱くなる。

05.人魚

アヴェマリアみたいな曲。人魚が歌っているかと思いきや”人魚を見た”という歌詞があるのでそういうわけではないみたい。最後”まだ帰れぬ”って言って終わって意味深。

06.トモダチ with 小袋成彬

かっこいい曲。歌詞は好きだから近くにいたいからトモダチになりたい、いやなれない、って思春期〜。曲調はちょっと「Kiss & Cry」という曲を思い出した。

07.真夏の通り雨

これもiTunensStoreで購入してから何回も聴いていた。この曲も亡くなった母親を思って書いたんだろうな。”ずっと止まない”真夏の通り雨はきっと止まらない涙の比喩なんだろうな。

08.荒野の狼

荒野の狼

荒野の狼

  • 宇多田ヒカル
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

マイケルジャクソンみたいなイントロ。この曲もかっこいい。サビはやっぱり宇多田ヒカルっぽくてサビがとても好き。「荒野のおおかみ」というのはドイツの作家、ヘルマン・ヘッセの小説のタイトル。

10.人生最高の日

”一寸先が闇なら 二寸先は明るい未来”っていいな。名言だな。この曲みたいにすごい気分が晴れやかな日ってたまにあるよね。あー人生って素晴らしいなっていう日。たぶんそういう日に書いたんだと思う。

11.桜流し

これはまだ宇多田ヒカルが人間活動期間中の2012年にエヴァンゲリオンQの主題歌として書き下ろされた曲。宇多田の復活を待ち望んでいた中に一曲だけ急にぽろっと配信された。その時はこの一曲を何回も繰り返し聴いていた。この曲がいい曲だっただけにもっと宇多田の曲聴きたいよー!ってむずむずした。あれからもう4年も経ったんだなー。本当に復活おめでとうございます。

宇多田ヒカルのライブを見たい

CDを何回も聴いているとやっぱり生で声が聴きたくなる。宇多田のお父さんの宇多田照實さんが「ヒカルもライブやりたがってる」ってTwitterでつぶやいていたらしいしこれは期待大。宇多田ヒカルはこれまで数えるほどしかライブをやっていないのでライブを観れるのは本当に貴重だ。Fantomeが国内外でもめっちゃ売れてるみたいだし、待望のアルバムを掲げてライブをやるとなったらそれこそ待望の待望のライブになるしチケットはかなりの争奪戦になるなー。今後の宇多田ヒカルの活動も注目です。

まとめ:音楽の力って偉大だ

このアルバムのタイトル「Fantome」は日本語だと幽霊とか亡霊とか幻影とかいう意味。このアルバムの曲の歌詞カードをじっくり読むと随所に母親を失ったことの悲しみも、感謝も、決意も書かれていることがわかる。きっと母の喪失を乗り越えて自分が「復活」するために母と自分宛に作ったアルバムなんだと思う。

この前こんな記事を見た。

自死遺族が宇多田ヒカルの新アルバムを聴いて思ったこと - はてな匿名ダイアリー

父親が自殺してから10年間「父親を殺したのはわたしだ」と、自分を責め続けていた遺族が宇多田ヒカルの「Fantome」を聴いて救われたという日記。音楽って人の心を救うことさえある。もしかしたら音楽で自殺を留まる人だっているかもしれない。音楽の力って偉大だ。

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