だめだ。好きすぎる。
水曜日のカンパネラが好きすぎる。
「私を鬼ヶ島に連れてって」でハマって、その後は「ジパング」、「UMA」とアルバムを出すたびに評価が上がっていってる水カンの完全に虜です。
水曜日のカンパネラの新作を聴く前って普通の音楽CDを聞く以上のわくわく感がある。
それは新しい小説を手にした時の気持ちに似ているかもしれない。曲タイトルは目次のような。タイトルを見ただけでどんな言葉が綴られているのか中身が気になって仕方がなくなる。
お笑い芸人の新ネタを見るときの気持ちにも似ているかもしれない。今度はどんなネタを見せてくれるんだろうっていうわくわく感が半端ないのだ。
そんなわくわくの期待を裏切らずに今回も最高に楽しませてくれるアルバム「SUPERMAN」の全曲レビューと感想を書きます。
水曜日のカンパネラのアルバム「SUPERMAN」全曲レビュー・感想
1.アラジン
デジタルシングル(配信リリース)曲。”ランプを擦るとジーニーが出てくるけれど、もし出てこないランプだった場合、それはただの掃除なので、アラジンは研磨材の歌になりました。(コムアイ)”って、発想がすごい。
ホームセンターにある研磨材の名前をただ羅列しているだけなのにそれが呪文を唱えているように聴こえるのはまるで水カンの魔法。
2.坂本龍馬
”薩長プッチョヘンザ”とか言葉遊びが楽しい。水カンの曲は偉人たちが全然歴史と関係ない動きをすることが多いけどこの坂本龍馬は歴史の通り動いてる感じ。
曲の頭で出てくる才谷梅太郎ってだれかと思ったら坂本龍馬の偽名のひとつらしい。水カンの曲きっかけで歴史の勉強するっていう。いいかも。
3.一休さん
今回のアルバムリード曲の割に最初ぴんと来なかったんだけど何回も聴くうちにはまってくるこの魅力。
(とんちを)”きかせてー”とか、”寺寺寺”、”虎虎虎”の響きとか水曜日のカンパネラって言葉も楽器みたいに使っていてそのセンスに惚れる。
MVを見てみると、能動的三分間的なデジタル数字のカウントダウン。熱愛発覚中的なネオン文字。椎名林檎ファンならMVを一目見て「児玉監督だ!」って分かる。
4オニャンコポン
まずタイトルを一見してなんやねんオニャンコポンて、てなるよね。ここだけ人の名前じゃない?と思ったら「オニャンコポン」とは西アフリカ・ガーナのアシャンティ人に伝わる神様の名前らしい。かわいい。曲名がやはり人の名前(人ではない)とわかると一気に親近感がわくから不思議。
ちなみに歌詞の中で出てくる「ニャホニャホタマクロー」はガーナのサッカー協会元会長の名前らしい。かわいい。世の中にはいろんな名前があるんすねえ。
水曜日のカンパネラってちょいちょい神様の名前も使ってくるよね。間奏に「ラー」っぽい音が入っていたり、”ポンポンポンポポンポポン”の歌詞に「メデューサ」を思い出したり。神様シリーズに繋がりを感じたのは気のせいだろうか。
5.チンギス・ハン
イントロで「あれ、なんか違うCD入れたかな」ってなる民族音楽的な声が聞こえる。
ジンギスカン屋を経営しているチンギス・ハンの歌。偉人が経営者になっちゃう話が「千利休」みたいで愉快。
なんでケンモチさんはこんなに心地よい音を知っているんだろう。どうしてコムアイはこんなに心地よく歌を歌えるんだろう。車で聴きながら自然に身体が揺れた。
ちなみにジンギスカン=チンギス・ハンは同一人物で鍋料理のジンギスカンもモンゴル発祥ということでモンゴル人のこの人の名前からきたらしい。
6.チャップリン
今回のアルバムは「ウランちゃん」とか「クラーケン」みたいな難解な曲がない。強いていうならこの曲がそれに当たるのかな。
チャップリンがプリンを作る話。最終的に醤油かけるけど。プリンに醤油かけるとウニの味がするんだよ(やったことないけど)。なんの話だっけ。
7.オードリー
でました。三連休前の金曜夜か三連休1日目の朝に聴きたい曲No.1。そのぐらい気分があがる。
オードリーってタイトルだけ見てまずお笑いコンビを連想してしまったけどこれはオードリーヘップバーンのほうの曲です。
8.カメハメハ大王
デジタルシングル(配信リリース)曲。”ビービヨビヨビヨビヨビヨビヨ”って表現したらいいのかなんと表現したらいいのかあのビヨビヨ鳴る音が楽しい。配信で初めて聴いた時は「なんだこの音はー!」と衝撃を受けた。
9.世阿弥
これやばくないですか?
曲にストリングス入ると好きになる確率が一気にアップする。完全にやられた。大好き。
これは3月の武道館でオーケストラ出てくるフラグが立ちましたな。そんなの観たすぎる聴きたすぎる。
”笛方増え方やばい”とか”Yes 能 枕に聞く人生の裏表”とかいつも以上に言葉遊びもキレキレなきがします。
ちなみに歌詞にも出てくる”初心忘れるべからず”は世阿弥が残した名言。
10.アマノウズメ
アマノウズメとは「岩戸隠れ」の伝説にも登場する芸能の女神であり、日本最古の踊り子。
神様だって芝浦のディスコで踊って朝帰りでタクシー待つし水カンの世界って古代も現代も飛び越えていてほんと自由だ。
ここでアルバムが終わった気がしなくてまた一曲目から、と無限にループしても苦じゃない不思議な力がある。
まとめ:空前絶後
前作「UMA」は未確認生物の名前しばりだったし、「ヒカシュー」という曲についてバンドのヒカシューから抗議を受けて曲名を改名する騒動もあったので人の名前使うのは控えてるのかな...ってちょっとさみしくなってたんだけど全然そんなことなかった。
曲名って大事だ。例えば英語のタイトルだったら曲を聴いてもタイトル思い出せないけど水曜日のカンパネラのはタイトルを見ただけで曲が思い出せるし、曲を聴いたらタイトルがすぐに出てくる。
曲名を人の名前にする理由について以前コムアイが”人名のほうが愛着がわくから”と語っていたけどまさにその通りで曲への愛着と親近感がすごいのだ。
今回のアルバムも各界の名だたる偉人たちの名前を使って新しくておもしろくておしゃれで気持ちいい音を聴かせてくれた。形容詞だらけになったけど水曜日のカンパネラの曲ってほんとにこんな感じなのだ。
リリースのペースも早くて3月にはついに武道館公演。今までにリリースした曲数も多いので武器は揃いすぎるほど揃っている。どんな公演になるのか気になりすぎる。行きたい(行けない)。
今回のアルバム後半で喜劇王チャップリン、ハリウッドの名女優オードリー(ヘプバーン)、日本の伝統芸能を大成した世阿弥、芸能の女神アマノウズメを詰め込んできた水曜日のカンパネラが音楽、歌、ダンス全ての芸能の生みの親になることをたくらんでいるような空前絶後の野望を抱えているような、そんな気がして恐い。
↑ CD版。コムアイの目だけのジャケットなのかと思いきやおもしろい仕掛けが
↑ USB版は"CDの形をしています。まだ、日本に合う次の媒体を提案しきれずにいるもどかしい状況を表現しました。"とのこと。おもしろい。水カンのこういうとこ大好き。CD版買ってしまったけどこっちにすればよかった。